つれづれ

名古屋市内の画廊・佐橋美術店のブログ

お知らせ

2024年05月25日 | 佐橋美術店よりのお知らせ
※5月18日土曜日は臨時のお休みを頂戴いたします。

こちらは佐橋美術店(HPへ)のブログでございます。
営業日時やご来店のご予約状況などはこちらでご確認くださいますようお願い致します。
通常営業は火曜日~土曜日 11:30~17:30とさせていただいております。
勝手ながら急用などで外出をさせていただくこともございますので
できましたらご来店にはご予約を賜りたく、ご協力のほどお願い申し上げます。
ご予約は、ご来店の日時に限りを設けず(休廊日も可)承ります。
どうぞご都合の良い日時をお知らせくださいませ。

佐橋美術店 連絡先 

電話 052  938 4567  
不在のおりには、 留守番電話にお名前をお残しいただけますと大変助かります

メール sahasi2009@castle.ocn.ne.jp

携帯 09056010068
   09076927861    
   共にショートメール可
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徳岡神泉 花

2024年05月16日 | 徳岡神泉
神泉作品の一番人気はやはり、このチューリップのようです。

ただ、画像にしてしまうと何かこう作品が陳腐になってしまう気がしたので、今までご紹介を避けて参りましたが、いよいよ来週から直接皆様に御覧いただけるので今回取り上げさせていただきました。

こんな風にチューリップを誰か描くの?と聞きたい気持ちになります。

そうなると、答えはまぁ~ 「徳岡神泉」しかなくなりますね。
絶対に、小林古径も安田靫彦も前田青邨もこうは描きません。

大変簡単そうに描きながら、計算し尽くされた色彩の妙。

チューリップでありながら、チューリップでなく、でも、チューリップは結局は絵にしたらこうするのが一番!という事だと思います。

この花の茎の危うさとか花びらの開閉とか、そういう植物としての弱弱しいところを省いて、この花の強さや怪しさ、可愛らしさを強く打ち出した作品でしょう。

神泉ってこんなに強い人なんだ。

今回の展覧会の準備をさせていただいて、私が一番感じたのはその事でした。
芯の強さは、京都画壇随一かもしれません。

だからと言って鈍いというわけではありません。



額は多聞堂製、共板は表に落款があるので、もともと額の作品だと思います。




朝日新聞社 徳岡神泉画集掲載 昭和40年 第4回玄覧会出品作





徳岡神泉鑑定会鑑定書

コレクションとしては申し分ない作品だと思います。



この「花」は、鳥海青児展の際のピカドールや川沿いの家のように、弥栄コレクションならではの作品だと思っています。以前は銀座に行けばこうした神泉の晩年作品を直接ご覧になることは容易だったと思いますが、いまはとても難しいことです。御舟、華岳と印象の仏画とともにみなさまにご堪能いただければと存じます。

徳岡神泉 「花」 10号 昭和40年
共板 徳岡神泉鑑定会 ⁜  


◇   ~30万円
☆  ~50万円
☆彡 ~100万円
◎  ~150万円
◎彡 ~200万円
⨝  ~300万円
⁜   ~500万円
⫸  500万円以上
⏺️ 詳細はお問い合わせください



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芙蓉

2024年05月15日 | 徳岡神泉
徳岡神泉の「芙蓉」は他の神泉作品と並べてしまうとただ「写実的」というだけで、作品自体の魅力が弱く見えてしまう気がしました。

ですから、単品で飾り、この作品の実力の程を計ってみたいと思いました。





やはり!そうでした(^▽^)

エントランスに飾ってみると、芙蓉のお花がキラキラと光って綺麗です。
芙蓉は夏のお花なので、これからの季節に合っているのかもしれません。
また、さすがに神泉の作品です。存在感があり、空間把握の力がとても強いと感じます。

近代京都画家たちのこれだけの数の作品に囲まれて過ごすのは初めてです。まちがいなく関東画壇の作品に比べて華やかさがあります。その華やかさのなかに少しの寂しさを残し、徳岡神泉の各時代の作品は更に美しさを増しているように思います。その寂しさは、遠い昔に貴族たちが詠んだ和歌の世界にも通じるものがあるようです。華岳もしかり、波光も、平八郎も、麦僊作品もその流れの中に生まれた画家だろうと感じます。



それにしても天候がめちゃくちゃで、朝夕と昼間の寒暖差が激しいですね。
こうして益々季節感が薄れていくのでしょうか。それでも、植物や昆虫などはよくその寒暖の「隙」をぬって茎をのばし花を咲かせたり、孵化して繁殖のお相手をみつけたりするものだと感心しています。まぁ、絵が欲しい!なんて余分なことを考えないので、生命力が旺盛でタイミングというものを本能的に察知できるのかもしれません。いずれにしても「命がけ」

近代京都画壇の一流の画家たちがその作品に挑んだのは、まさにこの「命がけ」ではなかったかと思うのです。命を削るようにとことん無駄を省くこと、そこに生まれる寂しさを美しい色で埋め、命というものの華やかさをのこすこと。

明治時代には喪に服すことが法令に定められていたと聞きます。調べてみると夫の場合、妻は13か月喪に服するとありました。なるほど、この一年、私は一度も外泊する気にならずずっと佐橋と共にありました。13か月は心の再生に必要な時間なのかもしれません。(ちなみに妻の場合、夫は90日喪に服するとありました。不公平と今なら文句が出そうですね)

この日本画の展覧会は佐橋の一周忌に重ねて開かせていただくものですが、奇しくも先ほど書かせていただいたように、この時期は花々が咲き、蝶が次々と舞い、燕が飛び交う季節。展覧会を終えるころには喪明けとして私も新しい行動を起こせるように思います。





徳岡神泉 額 「芙蓉」
紙 共箱 41×51㎝  ☆



「芙蓉」は桐箱に入っています。今回神泉の作品を紹介させていただくのにいくつかの作品に「共板」と書かせていただいていますが、共板には2種類あって、この芙蓉のように桐箱に入っている場合の板、つまり共箱と書かせていただいてもよいものと






以前お軸であった作品を額装に直し、お軸の箱の蓋の部分を板にして残したもの2種類になります。




桐箱の場合、板は中蓋として収納できます。お軸だった際の共板も箱の中に仕舞えるスペースが作ってあります。

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入江波光

2024年05月14日 | 入江波光
入江波光の作品もこのブログでまず皆様に画像だけご紹介させていただきました。小品ながら、波光らしいピリッとした作品です。


どこをどう切り取ってもとても美しい。


「磯の魚」というタイトルで波光は幾つか作品を制作しているようですが、この作品は大変写実的で、魚の生々しい触感まで表現されているように感じられます。

磯の魚といえば波光はいつもキスを描いていますので、こちらもキスだと最初から思い込んでいますが、いまふと余りにも写実的なので「?キスだよねぇ」と怪しくなりました。皆様のご意見もお聞かせいただけたらと思います。


波光は各年代細かく落款を変化させますが、こちらの印からも1935年昭和10年頃の作家50歳、よく川エビや鯰を描いていたころの作品だろうと考えています。


当店の「かにときす」の印はそれより10年ほど後によく使われていたようなので、「磯の魚」よりのちの作品ということになります。

入江波光は最良の友人であった村上華岳を喪ってから法隆寺金堂の壁画模写に参加しその晩年のすべてをこの仕事に打ち込みました。

「わたしは村上君を尊敬している。かれの端倪タンゲイすべからざる創造力(計り知れない創造力)、表現力は天与の才であって、わたしのような理詰めの人間とは正反対の作家である。若いころから、わたしは村上君にどれだけのことを教えてもらっているかわからない。山の頂だけでなく、谷間へも連れていってくれたのは、いつも彼であった」

入江波光は生きる姿勢そのものが作品となる画家であったと思います。波光自身もそのことがよくわかっていたのだとも思います。だからこそ、華岳を「山の頂だけでなく、谷間にも連れていってくれた」と評することができたのでしょう。

一見、入江波光という画家のほうが、その慎ましい生活態度から神々しいと思われがちですが、華岳の才能を知っている彼は、生活態度を律することによって制作には自分を殺していまわないよう、自由でありたいと願っていたのだと思います。華岳には才能では及ばないけれど、そうしてコツコツと自分の道を歩みながら、少しづつ少しづつ華岳とは別の、けれどその高さは決して華岳に劣らない画境に至れたのではないでしょうか。

当店の作品も含め波光作品は4点もありますが、今回はこの作品を中心に展示させていただこうと思っています。



入江波光 「磯の魚」
絹本 共箱 36.5×42.5㎝  ◇




◇   ~30万円
☆  ~50万円
☆彡 ~100万円
◎  ~150万円
◎彡 ~200万円
⨝  ~300万円
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⫸  500万円以上
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村上華岳

2024年05月13日 | 村上華岳
今回、速水御舟や村上華岳の作品までお預かりできるとは思っていませんでした。

特に華岳の観音をいつか店に飾りたいと、佐橋と二人で夢見ていたので店に運んでいただいてすぐはお軸をひらくこともできませんでした。

佐橋は居ないのに、しかもこんなに早く夢がかなってよいのだろうかという躊躇がありました。作品の内容は以前画像を拝見したことがあるのでわかっていました。全身像を描いたものでなく素描に近い作品ですが、お顔がとても綺麗だったのを覚えていました。ですから猶更見られませんでした。

華岳の観音を沢山ではありませんが、若い頃からいくつか見てきています。以前は落款や印譜のない簡単作品でも大変高価でしたが、例え描き込みはよくてもなかなかお顔のよい作品には出会えることはありませんでした。

不思議なもので、色々躊躇していてもやはり「見たい!」という気持ちは段々強くなるのですね。

ですから、先月末に、東京から弥栄さんのお子息がお立ち寄りくださったときに、お願いをして床の間に華岳を飾っていただき一緒に見させていただきました。



やはりとても優しいお姿で、何だか涙が出ました。

ちょうど、その翌日ご来店くださったお客様にはこの作品をご覧いただいていると記憶しています。けれど、この作品も含め、展覧会にどのように作品を並べさせていただこうかを決めるまでは、一度お軸を巻いておこうと思い箱に仕舞わせていただきました。

華岳の仏画。

それはどんなコレクターさまも一度は夢見る作品ではないでしょうか。

勿論華岳の作品はどんなものでも大変魅力的ですが、仏画を見るとき、私はとても切なく、恋しく、愛おしい気持ちになるのです。

それは、きっと村上華岳という画家が、近代日本画壇において神様に一番近いところまで修行を積んだ画家であったからだろうと思います。

「画家としてどんなに苦しい人生だっただろうか。どんなに孤独であったろうか」こちらまで胸が苦しくなります。
が、それと同時に華岳は独り笑顔でこの世を去っていったような気がしてなりません。それが、華岳だけが見つけた本当の「美」であると思うのです。


佐橋美術店22年目の初夏に弥栄画廊さんがお預けくださった作品たちとともに華岳作品も飾らせていただこうと存じます。佐橋もきっと喜んでくれているだろうと思っています。







村上華岳 「観世音捻花園像」
絹本 共箱 26×23.5㎝ ⁜






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